イギリスでは、クリスマスが近付くと、テレビ番組もクリスマス一色になり、「この時期お決まり」の映画も、テレビで沢山放送されます。

「ホリデー」とか「アブ・アクチュアリー」とかです。ディケンズ原作の映画「クリスマス・キャロル」が毎年のように放送されるというのも、何ともイギリスらしいかも知れません。

特に、10月頃から、クリスマス専用チャネルが始まり、一日24時間、クリスマスの時期までずっと、クリスマスの映画を放送し始めます。世の中にはこんなにクリスマスにちなんだ映画があるのか、と驚くほどです。


私はクリスチャンでも何でもありませんが、そんな私にも、クリスマスにちなんだ、大好きな映画が1つあります。ハーヴェイ・カイテルとウィリアム・ハートが主演の「スモーク」(1995年公開)です。

映画の中では、ストーリーはずっと、クリスマスに関係なく続くのですが、最後の5分間ほどだけ、クリスマスにちなんだエピソードがモノクロ映像で流れます。以下のストーリーを語る、とても美しい、モノクロの5分間です。

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ブルックリンで小さな煙草屋を営むオーギー(ハーヴェイ・カイテル)。昔、自分の煙草屋で万引き少年を見つけ、追いかけるが、逃げられます。万引き少年が落としていった財布には、お金は入っておらず、おばあさんと少年との写真や、運転免許証だけが入っていました。

ある年のクリスマス。何もすることがなく一人で過ごしていたオーギーは、その財布を届けに行こうと思い付きます。

免許証に書いてあった住所のアパートを訪ねると、盲目のおばあさんが一人で住んでいて、オーギーのことを孫(万引き班の少年)だと勘違いし、よく来てくれたと喜びます。オーギーはおばあさんに話を合わせて、クリスマスをおばあさんと一緒に過ごします。
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映画
物語はもう少し続くのですが、おばあさんは、オーギーの声や、オーギーとハグしたときの匂いや感触から、「この人は孫じゃない」と気付いたはず。でも、孫を装ってくれたオーギーと楽しい時間を過ごすことを選んだのでしょう。

幻想と現実。でも、たとえ幻想であっても、信じれば、それが真実になるのでしょう。そして、優しさは、人を救うだけでなく、自分をも救うものなのでしょう。

クリスマスの時期になると、観たくなる映画です。


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