今年6月に、鉄道各社の労組が賃上げを求めてストを始めてから、さまざまな業種にストが波及。この12月は、鉄道以外にも、看護師や入国審査スタッフ、郵便局とか、さまざまな業種で一斉にストをしています。
今日は、イングランドとウェールズで、なんと、「救急隊員」がストに突入しました。今日は、救急隊員の欠員を補うべく、救急車の運転手として、軍からも人員が投入されているそうです。
もともと、ストでなくても、イギリスでは救急車は「呼んでから何時間たっても来ない」とか「医師が足りず、救急病棟も患者でいっぱい。救急車で病院に運ばれても、14時間放っておかれた」とか、ネガティブに報道されることが多いです。
でも、私の地区の救急車は、呼ぶと5分ぐらいで駆けつけてくれます。もしかしたら、私の住んでいる地域が特別早いだけなのかも知れませんが、イギリス全土で遅い訳じゃないんですね。
老人はうっかり転んで怪我することが多く、抵抗力が低いので感染症にもかかりやすいです。亡くなった義父(パーキンソン病を長く患う)や義母も、救急車や救急病棟には何度もお世話になりました。
義弟が心臓発作で倒れた時も、夫が心臓が苦しくなった時も、救急車が5分で駆けつけてくれ、病院や救急車・救急病院のスタッフには本当に感謝しています。
ニュースによると、イギリスでは、一連のストを支持している人が多いと言われています。鉄道ストは44%とやや低めですが、看護婦と救急隊員のストは、ある調査では66%が「支持する」と回答したとも。
特に、看護師や救急隊員は、コロナ渦で国を支えてきたので、「支持」したい人は多いでしょう。でも、私個人は、支持できないところがあります。
看護師や救急隊員など、公共部門(政府が資金提供)の業種では、インフレ率に見合うだけの賃上げを要求していて、たとえば、看護師は何と19%(!)の賃上げを要求しているそうです(11月のインフレ率は10.7%)。
でも、たとえば、看護師の給与を1%上げるだけで、政府財源 7億ポンド(約1120億円)が必要だとのこと。郵便局とか鉄道とか、ストをしている公共部門関連の各業種で、要求どおりに賃上げしていたら、政府財政も破綻するし、今のインフレが更に進んでしまい、今の物価高も恒久化することになるのでしょう。
看護師や鉄道職員の給与も、決して低すぎるわけじゃないんですね。ニュースによると、電車の運転手の平均年収は48,500ポンド(約800万円)とか、3年目の新米看護師でも年収約30,000ポンド(約495万円)とか。もともと、イギリスの住宅価格・家賃が高すぎて、余裕の無いところへ、今年の物価高・光熱費高騰が直撃したという形なのでしょう。
ストをする権利が守られているのは、良いことだけれども、皆が皆、全力で自分の権利を主張したら、どうなるのか。日本に住んでいた当時、日本で鉄道ストのニュースはあったものの、いつも直前でストは回避されていました。日本人とイギリス人の、気質の違いなのでしょう。
考えさせられることの多い、一連のストです。
考えさせられることの多い、一連のストです。
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