今日は別のことを書こうと思っていたのですが、再度、イギリスの金融関連のお話です。もう一回、おつきあいいただけると幸いです。
ポンド
金曜日に新政府の財務相が発表した「ミニ予算」。これが波紋を呼び、イギリスの通貨、国債、株式が同時に売られるという「トリプル安」が発生しました(「英ポンド暴落の背景」)。

格付け機関の米ムーディーズや、IMFからも、「ミニ予算」の見直しを求める声明が出るなかで、これまで、財務相クワジ・クワーテングは「ノーコメント」としか発言せず、首相リズ・トラスも雲隠れして(!)沈黙を守ってきました。
トラス
ところが、今朝に、首相のインタビューが予定されていたので、ついに、「ミニ予算」について首相が発言せざるを得なくなることに。

どのような発言をするのか、と思っていたのですが、驚きました。これだけ内外から非難を浴びても、「ミニ予算」の方針は変えない。「ミニ予算」の方針は正しいと。

「光熱費上限を2500ポンドにする」ことで、インフレ率(現在9.9%)を5%に下げる。

減税(個人向け。企業向けは、来年4月に予定されていた増税を凍結)で、経済の活性化を図る。

などなど。。。



それじゃダメだから、これだけ内外から批判を浴びているのに。そして、まずいことや、答えたくないことを聞かれると、ササッとはぐらかしてケムに巻くのは、さすが政治家。

この首相と財務相による「ミニ予算」で、ポンド暴落が発生し、今後は金利が大幅に上がると見込まれています。そして、その被害を受けている人・受ける可能性がある人が、たくさんいます。

・海外からの輸入に頼っているビジネスでは、ドルベース支払いを行っている場合が多く、ポンド安だと輸入コストが上がってペイできない。

・これから金利が上がったら、住宅ローンを返していけない。または、家を買おうと思っていたのに、金利が上がったらローンを組めなくなる(「高金利で、住宅ローンを返せなくなる人が続出!?」)。

・金利の上昇で、年金基金に悪影響が及ぶ可能性がある。年金額が減ったりしたら、ほかに収入のない年金生活者は生活していけなくなります。

・石油・ガスもドル建てなので、ポンド安が続くと高騰する見込み。ガソリンもまた高くなる。

・イギリス国内で消費している食品は、約46%が輸入。食品はすでに10%ほど値上がりしているのに、ポンド安で、また値上がりする見込み。(スーパーにある備蓄がなくなったら、値上がりする模様)

こういった話が山ほどあります。特にビジネスに影響が出ていたり、ローンを支払えなくなるかも、という人は、夜も寝れないほど辛いでしょう。
写真
財務相と首相は十数年来の盟友とのこと。「ミニ予算」への非難が高まる中で、この二人は「口論している」だの「結託している」だの、いろいろ噂されてきましたが、今日の首相インタビューを聞く限りは、この二人の結託はかなり堅そうです。

首相と財務相。これだけ困っている・困りそうな人が出ているのに、いったい誰のために何のために政治をしているのか。そして、あまりにも経済を知らなさすぎる感が否めません。

世論調査では、この騒動で、保守党(首相と財務相が属している政党)の支持率が激減しているとのこと。しかしながら、保守党の関係筋によると、長い首相選挙を経てようやく2週間前に新首相が就任したところなので、「今すぐには、もう一度首相選挙をするのは難しい」とのことです。

できるだけ中立的にブログを書こうと思っているのですが、今日は怒りが出てしまいました。


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