昨年11月に英国のアマゾンが、「2022年1月19日から、イギリス国内発行のVisaクレジットカードの受け付けを停止する」と発表し、大きな波紋を呼んでいました。

アマゾンユーザー宛に、こんな電子メールが送付されました。
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イギリスでは10人に1人がアマゾンを使っているそうです。パンデミックの影響もあり、2020年には英アマゾンの収益は51%増加し、約193億ポンド(1ポンド=約150円)に達したそうです。

私もアマゾンユーザーで、月2回ほどアマゾンで買物をし、英Visaで決済していました。「ええっ、アマゾンで英Visaが使えなくなるのか」と驚きましたが、アマゾンで買物するのは月2回ほどだけだから、英Visaが使えなくなってから他のカードに切り替えればいいか」と思っていました。

そして、ここにきて、今週前半に英アマゾンが「解決策をVisaと協議中であり、1月19日以降も英Visaクレジットカードをアマゾンで使い続けることができる」と発表しました。解決に至った訳では無く、とりあえず「使い続けることが出来るようにしただけ」の様子です。
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この問題、クレジットカード使用時に、カード会社が店舗に課す料金が問題となっています。

もともとEUでは、2015年にEU内のカード決済に関して手数料(カード会社が店舗に課す)に上限を設定し、この上限に基づいて、VisaもMastercardも、クレジットカードに0.3%、デビットカードには0.2%の手数料を店舗に課していました。

これが、BrexitでイギリスがEUを離脱し、EUの規制がイギリス国内には適用されなくなります。VisaもMastercardも、手数料をクレジットカードは1.5%、デビットカードは1.15%に変更したところ、それに対して、英アマゾンが「英Visaの手数料が高すぎる」と抗議し、「英Visaの受け付けを停止する」としたものです。

*英アマゾンと英Mastercardは、手数料に関して何らかの合意があったようです。もともと、英アマゾンと英Visaは関係が良好でなかったのか、合意に至らなかった様子。

この問題、とりあえず、1月19日以降も引き続き、英アマゾンで英Visaは使用できるようになりましたが、両社間で引き続き協議が行われているようです。

イギリスでは、クレジットカードはVisaとMastercardが主流なので、そのうちの1つVisaを省くというのは、英アマゾンにとっても得策では無いのでしょう。Visaデビットカードは引き続き使えるとはいえ、デビットカードでの買い物は返金が効きません。イギリスはもともと返品天国で返品が多い上、配達時の破損や紛失もそこそこ多いです。デビットカードがあるとは言え、やはりクレジットカードを省くことはできないでしょう。

そして、Brexit前とBrexit後でここまで店舗手数料が変わると、英アマゾンだけでなく、イギリスの他の企業でも、クレジットカードに対する方針が変更される可能性があります。特に取扱金額の大きな旅行産業や鉄道会社などでは、たとえば、英Visaの取り扱いを停止するとか、英Visaを利用する顧客には追加料金を課すなどの可能性もあるとも言われています。

ちなみに、私事になりますが、私は英Visa以外には、百貨店ジョンルイス系のPartnershipカード(Mastercard系列)を使っています。買物した金額がポイント化されてジョンルイスの商品券がもらえます。ジョンルイスやWaitrose(ジョンルイスの系列スーパー)での買い物は、ポイント率が特に高くなるので、ジョンルイスやWaitroseでよく買物する場合は、Partnershipカードはお勧めかも知れません。

写真はお借りしました。
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