昨年12月上旬から延々と続く、ボリス・ジョンソン首相(保守党)の「パーティー疑惑」ですが、来週半ばには、次の大きな展開があると見込まれています。
「パーティー疑惑」とは、一昨年2020年12月のロックダウン下でパーティーが禁止されていた時期に、首相官邸で大人数のクリスマスパーティーが行われていたという疑惑です。
今年に入ってから、パーティーが行われれていたのは「2020年12月」だけでなく、初回ロックダウン中の「2020年5月」や、「2021年4月」などにもパーティーが行われていたことが発覚。特に、「2021年4月」のパーティーは、故フィリップ殿下(エリザベス女王の配偶者)の葬儀前夜であったため、このニュースに国民の怒りが一層高まりました。野党だけでなく、与党からも辞任を求める声が出ています。
1月19日の下院議会では、「保守党の下院議員が1名、議会審議中に労働党に鞍替えする」、「保守党の重鎮であり閣僚経験もあるデイビッド・ディビスが『神の名において辞任すべきだ』(In the name of God, go)と発言する」など、衝撃的な出来事もありました。
「神の名において。。。」は、かなり衝撃的でした。

これまで、ボリス・ジョンソン首相は「辞任しない」という姿勢を貫いています。
イギリスで首相が退任するには、「自ら辞任する」か、「党内(今回は、保守党)で不信任投票を行い、不信任される」しか方法がありません。
または、イギリス議会には、「下院議員行動規範」(Code of Conduct)なるものがあり、議員はこれに署名誓約するのですが、この規範には「議会で虚偽の発言をした場合は、辞任しなければならない」という内容があります。これまで首相は下院議会でパーティー疑惑に関して何度か釈明して来ましたが、その釈明内容に明らかな嘘があった場合は(知っていたのに、知らなかったと言ったなど)、辞任に追い込まれる可能性があります。
「自ら辞任する」「党内の不信任投票で、不信任される」「議会での嘘のために、辞任する」の中では、「不信任投票で不信任される」というのが、一番可能性が高そうです。
ただし、不信任投票を行うには、「保守党の下院議員の15%が『不信任投票を求めるレター』を提出」し、さらに「不信任投票で、保守党の下院議員の50%が不信任する」必要があります。
保守党の下院議員は合計360名。不信任投票を行うには、15%にあたる54名がレターを提出する必要がありますが、今現在でレターを提出したのは、20名程度と言われています。
保守党の下院議員は合計360名。不信任投票を行うには、15%にあたる54名がレターを提出する必要がありますが、今現在でレターを提出したのは、20名程度と言われています。
今週1月19日には、この日に行われた下院議会の状況次第で、さらなる保守党議員が「不信任投票を求めるレター」を提出すると言われていました。ただし、これは、同日に下院議会でボリス首相から発表された「新型コロナ対策 プランBの撤廃」によって、阻止された形になっています。
**ボリス・ジョンソン首相には、新型コロナ対策をめぐって、保守党内に「ビジネス重視をかかげる対立勢力」があるのですが、「新型コロナ対策 プランBの撤廃」を発表することで、これらのビジネス重視派を懐柔したと言われています。そういった意味で、「新型コロナ対策 プランBの撤廃」は、政治的道具として使われたのでは、という声もあります。**
今後の展開ですが、来週半ばに、第二事務次官スー・グレイから調査報告書が提出される予定です。あくまでも報告書に留まり、法的効力はありませんが、スー・グレイはこれまで、2017年に当時の「テリーザ・メイ政権のナンバーツーであったダミアン・グリーンを退任に追いこむきっかけになった調査報告書を作成したこともあり、その手腕は一定の評価を得ています。
現在、静観を決め込んでいる保守党議員ですが、この報告書の内容に基づいて、首相に対する態度を決めると言われており、来週に「パーティー疑惑」に何らかの動きがあると見られています。さまざまな場合に備えて、水面下では、後継者の選択なども進んでいるのかも知れません。


コメント
コメント一覧 (2)
アメリ
が
しました