今年に入ってから、やたらとニュースの多いイギリス。最近はすっかり、時事ネタのブログと化していますが。。。今日はインフレの話です。イギリスで物価高が止まりません。

イギリスの国家統計局(ONS)によると、昨年2021年12月の消費者物価指数(CPI)が前年同月(2020年12月)よりも「5.4%」上昇し、1992年3月以来、ほぼ30年ぶりの最も急激な伸びを記録したとのこと。前月(2021年11月)との比較でも、「5.1%」上昇したとのことです。ちなみに、英イングランド銀行が掲げるインフレ目標は「2%」です。

ああ、やっぱりな、という印象です。先日のテレビニュースでも、例えば、「食パン一斤が50%値上がりした」「牛乳が2割値上がりした」など、街頭インタビューの声を伝えていました。

このインフレ率上昇の一番の要因は、世界的なエネルギーコスト(電気・ガス)の上昇と言われています。このコスト上昇のために、企業では、生産コストや輸送コストが上昇し、この上昇したコストが消費者価格に転嫁され、消費者価格が上昇しているというわけです。
そして、家庭のガス・電気料金も、大きく値上がりしています。

世界的なエネルギーコスト上昇の要因は、簡単に言えば需要に供給が追い付かないためですが、特に欧州では、ウクライナをめぐるロシアとNATO・西側諸国の緊張関係が、供給が低下した主要因と言われています。もともと、EU諸国(イギリスを含む)では、天然ガス輸入量の約50%をロシアに頼っていました。



そして、イギリスでは、このエネルギーコストの上昇のために、昨年秋から、多くの電気・ガス供給会社が倒産しています。

イギリスでは、家庭向けの電気・ガス料金には「Price Cap」(ユニットあたりの上限価格)があり、電気・ガス供給会社は、この「Price Cap」よりも高い価格を家庭顧客に課すことができません。電気・ガス供給会社への卸売価格が上昇するに従って、電気・ガス供給会社がこのコスト上昇分を吸収できなくなり、バタバタと倒産したというわけです。

イギリスの総世帯数は1940万世帯(2020年現在)ですが、400万世帯(総世帯のほぼ20%)が倒産の影響を受けたとのこと。この「Price Cap」は6か月ごとに見直されているのですが、電気・ガス供給会社を救済するために、4月には「Price Cap」が50%上がると見込まれています。つまり、家庭顧客が、50%高い料金を支払わざるを得ない場面が出てきます。

先日見たニュースでは、「電気料金がかかりすぎるので、洗濯機を使うのを控えている」、「暖房費を節約するために、リビングルームでブランケットを4枚も掛けている」などという消費者の声もありました。

英イングランド銀行は、このエネルギーコスト高のために、4月にはインフレ率がさらに上昇し「6%」になると予測しています(目標は「2%」)。そして、現在のエネルギーコスト高は、来年半ばまで続くと予測されています。

インフレ対策の常套手段は、「中央銀行が金利を上げる」です。実際に英イングランド銀行は12月に利上げを実施済みです。ただし、この「金利を上げる」という対策は、「経済活動が活発化し、市場に金がありすぎる」状況を抑えるのが目的であれば効果があるものの、現在の「エネルギーコスト」(特にロシア関係)が主要因のインフレには、効果が少ないと言われています。

今の物価高がいつまで続くのか。安全保障とは違う意味で、ロシアの行方が気になるところです。
インフレ
*写真はお借りしました。

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