イギリスでは、日曜日の夜にボリス・ジョンソン首相から「ブースターの対象者を18歳以上に拡大し、年末までにブースター接種を完了させる」と発表がありました。ゴールデンタイムである夜8時から10分間、これを説明する首相のスピーチが放送されました。

イギリスでの新型コロナ感染者は、今年の7月以降、1日あたり4万人~5万人を推移しています。その中で、イングランドでは、オミクロン株が新型コロナ感染者の20%を占めるまで増えており、ロンドンでは感染者の約44%がオミクロン株だとのこと。

オミクロン株が世界中で大ニュースになったのは11月末と、つい2週間ほど前に過ぎないことを考えると、急速な広がりです。

感染者数は、7月以降、高め安定で推移しています(出典:UK GOVサイト)
政府データ
そして、イギリスでは、昨日 月曜日に、オミクロン株で初の死者が出ました。オミクロン株での入院患者数は少なく、今日 火曜日現在で10人とのことです(イギリス全体での新型コロナ入院患者数は約7300人)。

首相の発表を受け、ブースターを予約しようと、NHSの予約サイトに人々が殺到し、サイトがクラッシュ。昨日 月曜日には、50万人を超える人がブースターの予約を入れたとのことです。

イギリスでのワクチン接種状況です。夫の同僚にも、ワクチン忌諱の人がいたのですが、この状況になり、ワクチン接種を決めたそうです。画像はお借りしました。
ワクチン接種数
NHS(国営健康医療サービス)の「ウォークインセンター」では、予約なしに接種できるため、各地のウォークインセンターに長い行列ができ、2時間待ちや4時間待ちになっているとのこと。数時間待ちでも、人々はブースター接種に積極的だとのことです。ニュース映像を見ると、20代~30代の若い人が多いようです。

ブースターを接種すれば、オミクロン株も70~75%防げるとのこと。写真はお借りしました。

ブースター3

また、無料の簡易テストキットも、予約サイトがパンクし、予約を一時停止したそうです。
我が家では、5回分の検査キットが残っています。今週から夫はクリスマス休暇が始まり、夫も私も週イチでスーパーに行くぐらいなので、5回分の検査キットがあれば、暫くは大丈夫でしょう。仕事などで検査キットが日々必要な方々に、きちんと行き渡って欲しいものです。

検査キットは、こんな感じで、1箱に7回分のキットが入っています。
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コロナ禍になって以来ずっと、禁止されているパーティーを堂々と行うなど、他人を顧みない超個人主義的なイギリス人を多く見てきた私にとっては、政府の指示に従う「イギリス人の公共心」を垣間見ることになり、感慨深いです。

そして、一連の報道から、「ロックダウン」は極力避けたいという政府の意向がよく分かります。ロックダウンは、経済を停滞させるだけでなく、メンタルヘルスにも影響するし、未来ある子供の教育にも影響します。

そして、オミクロン株のニュースと同様に熱い、ボリス・ジョンソン首相の「昨年のクリスマス・パーティー疑惑」です。さまざまな証拠が報道されているものの、首相は否定し続けており、「政府ルールに違反していない」と言い続けています。

これまで、ボリス政権下では、上級顧問を務めたドミニク・カミングス氏、保険相を務めたマット・ハンコック氏など、さまざまな人がスキャンダルに見舞われました。首相は、そのたびに擁護し、彼らの辞任を促すことはありませんでした。

側近の辞任を引き留めてきたボリス・ジョンソン首相。彼もまた、最後の窮地に追い込まれるまでは、自ら辞任することはないでしょう。

そして、物事のつい裏を考えてしまう私。1年も前の「クリスマス・パーティー」が、何故、今になって報道されるのか。つい、うがった見方をしてしまいます。

このクリスマス・パーティー・スキャンダルについては、12月1日に英タブロイド紙の「デイリー・ミラー」が写真を、12月7日に英テレビ局の「ITV」が映像を報道しました。

先日に、BBCのジャーナリストが、この報道に関する「デイリー・ミラー」責任者と「ITV」責任者に、それぞれインタビューをしていました。これらの責任者によると、この類の写真や映像を報道するには、事前に社内で2週間ほどの内部査定が入るそうです。

この内部査定期間を考えると、「デイリー・ミラー」と「ITV」の両方の報道が、1年経った今、なぜ同じ様なタイミングで行われたのか。「ボリス・ジョンソンに首相を辞めてもらいたい政界人や財界人」が、その背後にいるのでは、という見方もあります。

一説では、「クリスマス後に、首相の進退が決着を見る」という話もあるそうです。オミクロンにしても首相の進退にしても、しばらく目が離せません。


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