8月下旬に、「KFCからチキンが消える?」と「ここにも影響が」で、重量物の運送トラック(HGV)のドライバーが不足している、という話を書きました。

KFCからチキンが消える?
マクドナルドやKFCで、ドライバー不足のために、定番商品が工場から供給されず、一部メニューが販売中止に。
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ここにも影響が
ゴミ回収車もドライバー不足で、ゴミ回収に遅れが。



今度は、重量物の運送トラック(HGV)のドライバー不足が原因で、「一部の小規模ガソリンスタンドにガソリンが供給されない」事態に。

ニュースでは、「ガソリンは十分にある。ドライバー不足で供給できないだけだ」と報道しているのですが、不安が生じ、ガソリンスタンドは長蛇の列ができるという事態に。
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人間心理は怖いですね。パニック買いが早く収まることを願うばかりです。我が家は、車はそれほど使わないので、1か月ほど経って状況が鎮静化したら、ガソリンスタンドに行こうと思っています。

もともと、HGVドライバー業界では、ドライバーが高齢化しており、リタイアによって、ドライバー人口が減少傾向にあることが問題になっていました。

収入も、時給10ポンド(約1500円)と、きつい仕事であるのに、割に合わないらしい(2021年4月時点でのイギリスの最低賃金は、8.91ポンド(23歳以上の場合))。

それに加えて、Brexit(イギリスのEU離脱)や、コロナの影響で、EU諸国出身のドライバーが自国に戻ってしまい、ドライバー不足が加速することに。

重量物の運送トラック(HGV)は、高度な運転技術が必要なので、運転免許を取るのが難しいらしいです。その上、コロナ禍のため、受けたくても、なかなか運転免許試験を受ける事ができないらしい。今すぐ試験を申し込んでも、試験を受けれるのは10週間後だそうです。

もともとは、Brexit(イギリスの欧州離脱)の話が出てきたときから、東欧からの安価な労働力に頼っている業界は、人手不足になることが想定されていたんですよね。

トラック業界以外にも、飼養農場・処理工場など、東欧諸国からの安価な動労力に頼っている業界は、同じような状況になるのが目に見えていました。

コロナ禍という不幸な要因もありますが、人手不足が想定されていたのに手を打ってこなかった、業界の責任は重いでしょう。

今回、イギリス政府は、対策として、「EU諸国のドライバー5,000人に、3か月間の期間限定ビザを発行する」ことを決めました。明らかにクリスマス対策です。「軍隊所属のドライバーが支援する」という案もあるそうです。

飼養農場でも人手不足が想定されるので、「飼養農場での従業員として、5,500人に3か月期間限定のビザを発行する」とのことです。これも、主にはクリスマスの七面鳥対策です。ここまでして七面鳥を確保しようとするのも、イギリスっぽくてちょっと可笑しいですが。

もともと、Brexitは、「EU加盟国からの移民を減らす」ことを公約としていたので、政府としては、ここで安易にビザを発行するというのは、不本意でしょう。

これからクリスマスに向けて、イギリスでは物流量が最も増える時期です。このドライバー不足問題、政府と業界が連携して、早期に解決に導いて欲しいものです。