昨年夏に、義弟と義父が2週間おきに亡くなり、立て続けに二人の葬式がありました。日本の葬式とはかなり違ったので、ご紹介したいと思います。

日本だと、葬式は、亡くなった直後に行われますが、イギリスでは、1週間後ぐらいに行われます。ちなみに、亡くなると、遺体はすぐに葬儀場に運ばれるため、お通夜はありません。

当時は、コロナ禍のため、葬儀場も消毒などが必要になり、1日に行える葬式の数が限られるとのこと。そのため、亡くなってから葬式まで、3週間かかりました。参加者も、最大30人に制限されていました。

イギリスで葬式を行うことが決まると、まず、「フューネラルディレクター」(葬祭ディレクター)が自宅に打ち合わせに来ます。この打ち合わせに従って、葬式が行われます。

葬式は、「公営の葬儀場」でするのか「教会」でするのかを選ぶことができます。「公営の葬儀場」は、教会式の建物に、火葬場が付属したものです。

公営の葬儀場の外観は、こんな感じです。義弟の場合も義父の場合も、公営の葬儀場で行いました。写真はお借りしました。


ちなみに、日本だと、知り合いであれば、誰でも、お通夜や葬式に参列できますが、イギリスでは、招待された人だけが葬式に参列できます。

ドレスコードは、日本ほど厳しくなく、黒っぽい服であれば、OKなようです。白のTシャツ生地のトップスに、黒のスカートという人や(最高気温が35度ほどと、暑い日でした)、濃紺の花柄ワンピースの人もいました。男性は、暗めの色のスーツに、黒のネクタイでした。

葬儀屋さんの服装が、一番きちんとしていました。今更ながら、イギリスはカジュアルな国だと実感。写真はお借りしました。


建物内は教会形式で、棺は前方に置かれます。喪主が一番前の席に座ります。建物内は、こんな感じです。写真はお借りしました。


葬式が始まると、まず、故人の近親者が故人について15分ぐらいのスピーチをします。故人の兄弟がスピーチをすることが多いようです。イギリスらしく、軽くジョークを交えて、笑いを取ろうとします。

その後、前方の大クリーンで、写真のスライドショーが始まります。基本料金だと10枚程度で、追加料金を支払えば、写真を追加できるそうです。

義弟は、写真が趣味だったこともあって、義弟の葬儀では、40枚ぐらいスライドショーをしました。飼猫の写真が延々と続いたりして、和やかな雰囲気でした。葬式中には、故人が好きだった音楽もかかります。

義弟はアメショーの猫とジンジャーの猫を飼っていました。こんな感じで40枚続きました。写真はお借りしました。


スライドショーが終ると、葬儀ディレクターがスピーチし、事前の打ち合わせに従って、故人のエピソードを話します。義父の葬式では、「最後の姿ではなくて、元気だった頃の姿を覚えていてください」と、スピーチを締めくくりました。

義父はパーキンソン病を患い、認知症が進んだ中で、亡くなったので、義母がこのようなスピーチをリクエストしたのでしょう。

式次第が終了すると、棺に向かって手短にお別れをし、建物を出ます。私はてっきり、日本式に、「棺の窓を開け、故人のお顔を見てお別れする」と思い込んでいたのですが、イギリスではこれは無いようです。確かに、亡くなって3週間後では、難しいでしょうね。

義弟の葬儀の2週間後に、義父の葬儀があったのですが、参列者(30人)は親族が中心と、ほぼ同じメンバーで、しかも葬儀場も同じなので、葬式の悲しみの中でも、「やあやあ、また会ったね」と、半分コメディーを見ているような感じでした。

葬式が終ると、通常は、パブで食事をしたり、喪主の家で、サンドイッチやケーキをつまんだりします。昨年はコロナ禍のため、喪主の家の庭で8人でお茶をしました。

ちなみに、イギリスでも墓不足は深刻なようで、最近では、散骨が増えているそうです。

埋葬する場合、墓地でリース契約をするか、教会の区画を買うのですが、リース契約の場合、100年契約が多いとのこと。100年経ったら、近親者が残っておらず、リース契約を更新できずに、お墓も荒れるなど、問題も多いそうです。ちなみに、義弟も義父も散骨を選びました。

散骨を選ぶ人が多いので、専用の散骨場所を用意・管理しているビジネスも多いようです。


日本人の私にすると、自分が亡くなったときに、散骨されてお墓が無いというのは、少し寂しいように思うのですが、イギリス人は、死に対する考え方が違うのかも知れません。

長い文をお読みいただき、どうもありがとうございました。