私が育った当時は、「オカルトブーム」の初期でした。

五島勉 さんの「ノストラダムスの大予言」が爆発的に売れ、映画「エクソシスト」や「オーメン」がヒットし、学校ではコックリさんが流行り、下校時には口裂け女に怯える、という時代でした。読書好きな子供だった私は、「雨月物語」なども読んでいました。

そんな風に育った私ですが、少しだけ霊感があるようで、子供の頃から、気配を感じたり、何かがうっすらと見えたりすることがあります。

高校生だった当時に、同級生が亡くなる間際にお別れを言いに来たこともありました。

会社で残業をしていたときに、すぐ耳の後ろで人の息遣いを感じ、振り返ったら、誰もいなかったこともあります。

霊だったのかも知れないし、ただの気のせいだったのかも知れません。

そんなこんなで、一人暮らしをしていた頃は、真っ暗な中で眠るのが怖くて、寝るときにはテレビを付けたままにし、タイマーでテレビが消えるようにしていました。

そんな私に、転機が訪れます。あるとき、自称「霊感が強い」という同僚が、「人間と同じで、悪い霊もいれば、良い霊もいる。そして、良い霊のほうが圧倒的に多い」と。なるほど。この言葉で、霊が怖くなくなりました。

一番最後の霊体験は、昨年夏に義弟が亡くなった直後でした(過去記事「義弟と義父の死」)。義弟が亡くなってから1週間ほどの間、義妹(夫の妹。義弟の妻)が、「家で一人で寝るのは嫌だ」とのことで、夫と私が交代ごうたいで、義妹の家に泊まりに行っていました。義妹と一緒の部屋に寝る訳では無くて、隣の部屋で寝ていました。

泊まりに行った初日のことです。夜中にふと目が覚めました。誰かが、私の頭にじっと手を当てています。でも、とても穏やかで、悪意は感じません。なぜか、「義弟だ」と思いました。

「私たちが付いているから、心配しないで」とか「会えてよかった」とか、いろいろな思いが頭の中をグルグル駆け巡りました。そして、そのまま深い眠りに落ちました。

ただの夢だったのかも知れない。本当にあったのかも知れない。でも、私の心の中では、あれは義弟だった。心臓発作で突然亡くなってしまった義弟に、最後のお別れを言えて、ほんとうに良かった。そう思います。

ようやくタチアオイが咲き始めました。私の身長(165センチ)と同じぐらいの背丈です。
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